プレス品及びロッド・スライス品(RS品)をご注文の際は、研磨図面に基づいて、製法、プレス時の技術的要件等を考慮し、以下に示す基準を適用してプレス図面を作成します。
1. 外径及び肉厚
●1.1 DP品、RP品
DP品、RP品に対する外径、肉厚(中心肉厚)の取代及び公差(レンジ)は、通常表4、表5のとおりです。
DPは硝種、形状に制限がございますので、ご用命の際には弊社営業にご相談ください。
表4:DP品の外径、肉厚の取代及び公差(レンジ) 単位:mm
外径(φ) | 外径 | 肉厚 | ||
---|---|---|---|---|
取代 | 公差(レンジ) | 取代 | 公差(レンジ) | |
18≦φ<30 | 1.0 | 0.2 | 1.0 | 0.4 |
30≦φ<50 | 1.0 | 0.3 | 1.0 | 0.4 |
50≦φ<70 | 1.0 | 0.4 | 1.0 | 0.4 |
70≦φ<100 | 1.0 | 0.6 | 1.5 | 0.8 |
100≦φ<120 | 1.5 | 0.8 | 1.5 | 0.8 |
表5:RP品の外径、肉厚の取代及び公差(レンジ)単位:mm
外径(φ) | 外径 | 肉厚 | ||
---|---|---|---|---|
取代 | 公差(レンジ) | 取代 | 公差(レンジ) | |
< 18 | 1.0 | 0.2 | 1.2 | 0.6 |
18≦φ<30 | 1.0 | 0.3 | 1.2 | 0.6 |
30≦φ<50 | 1.0 | 0.4 | 1.2 | 0.6 |
50≦φ<70 | 1.0 | 0.6 | 1.2 | 0.6 |
70≦φ<100 | 1.5 | 0.8 | 1.5 | 0.8 |
100≦φ<120 | 2.0 | 1.0 | 2.0 | 1.0 |
120≦φ<180 | 2.0 | 1.0 | 2.4 | 1.0 |
≧180 | 3.0 | 1.5 | 3.0 | 1.5 |
●1.2 ロッド・スライス品
ロッド・スライス品(RS品)の外径及び肉厚の公差(レンジ)は、通常表6のとおりです。
表6:ロッド・スライス品(RS品)の外径及び肉厚の公差(レンジ)単位:mm
外径(φ) | 外径公差(レンジ) | 肉厚公差(レンジ) |
---|---|---|
1.5≦φ≦20 | 0.10 | 0.10 |
2. 曲率半径(R)
●2.1 曲率半径(R)の基準値
プレス品のRの基準値は、通常、研削加工時に外当たりになるように設定します。すなわち、プレス品のRは研磨品のRに対し、凸Rの場合はより大きなR(ゆるいR)、凹Rの場合はより小さなR(きついR)とします。外当たりの大きさは、プレス品の球欠高さと研磨品の球欠高さとの差(Δh)を用い、通常表7のとおり設定します。凸Rの場合は、研磨品の球欠高さにΔhをマイナスし、凹Rの場合は研磨品の球欠高さにΔhをプラスします。
表7:外当たりの大きさ(Δh)単位:mm
プレス品外径(φ) | 外当たりの大きさ(Δh) |
---|---|
φ< 70 | 0.3 |
70 ≦ φ < 100 | 0.4 |
100 ≦ φ < 180 | 0.6 |
180 ≦ φ | 1.0 |
[研磨品寸法からプレス品寸法への変換の例]
DP品を例にとり、前記の基準に基づいて、研磨品寸法からプレス品寸法に変換すると、表8の様になります。また、図示すると、図1のとおりです。
表8:研磨品寸法からプレス品寸法への変換の例(DP品)単位:mm
外径 | 中心肉厚 | 凹R Concave R | 凸R Convex R | |||
---|---|---|---|---|---|---|
h | R1 | h | R2 | |||
研磨品 | 50.0 | 3.0 | 4.81※ | 70.0 | 3.31※ | 100.0 |
プレス品 | 51.0 | 4.0 | 4.81+0.3 | 66.2 | 3.31-0.3 | 109.5 |
※プレス品の外径における値
図1 研磨品寸法からプレス品寸法への変換の例
●2.2 曲率半径(R)の精度
実際に製造されたプレス品のRの精度は、図2のようにプレス品のRと基準のRゲージとの間の隙間(外スキ、中スキ)の大きさで評価します。その許容値は通常表9のとおりとします。
表9:Rの精度の許容値(単位 mm)
外径(φ) | 許容値 Allowance | |||
---|---|---|---|---|
R1 | R2 | |||
外スキ 外間隙 | 中スキ 中間隙 | 外スキ 外間隙 | 中スキ 中間隙 | |
φ< 70 | 0.3 | 0.5 | 0.1 | 0.3 |
70 ≦ φ < 120 | 0.4 | 0.6 | 0.4 | 0.6 |
注:形状、硝種等により、当基準の適用が困難な場合及び120φ以上の場合は、別途協議させていただきます。
図2:Rの精度の評価方法
●2.3 R面の向きの表示
プレス品におけるR面の向きは、光学設計の標準図示方法と異なり、弊社のプレス特性、お客様の加工特性に即した向きを採用しています。弊社のプレス図面におけるプレス品のR1面は、通常表10に従って表示してありますが、この面はプレス金型の上型面となります。
表10:R1面の向きの表示
プレス品の形状 | R1面 |
---|---|
両凸 | 浅面(ゆるいR面) |
平凸 | 平面(∞面) |
両凹 | 深面(きついR面) |
平凹 | 凹面 |
メニスカス | 凹面 |
3. 内径
内径付きの形状の場合、プレス品の内径(φa)は、図3のように、通常研磨品の内径(φb)と同一寸法とします。
図3:プレス品の内径寸法
4. 面取り
プレス品のカケ、ホツを防止するため、次の条件に該当する場合、外周部に面取を付加します。(図4)一般的に、面取りは、”C面取り”(交差する面部分を45°に加工します)により示されます。付加する面取りの長さは、通常、表11のとおりです。
図4:面取り(C面取り)およびコバ
表11:付加する面取の長さ 単位:mm
外径(φ ) | 面取の長さ |
---|---|
φ < 15 | 0.3 |
15 ≦ φ < 100 | 0.5 |
100 ≦ φ < 180 | 1.0 |
180 ≦ φ | 2.0 |