1. 屈折率*
屈折率とは真空(実用的には空気)中の光の位相速度と媒質中の光の位相速度との比で表わされます。光学ガラスの屈折率は、表2の15種類のスペクトル線を用いて測定します。
表2 屈折率測定スペクトル線の波長と光源| 波長(nm) | スペクトル線 | 光源 |
|---|---|---|
| 1,013.98 | t線(赤外水銀) | Hg |
| 852.11 | s線(赤外セシウム) | Cs |
| 768.19 | A'線(赤色カリウム) | K |
| 706.52 | r線(赤色ヘリウム) | He |
| 656.27 | C線(赤色水素) | H |
| 643.85 | C'線(赤色カドミウム) | Cd |
| 632.80 | (632.8)(He-Neレ-ザ-) | He-Neレ-ザ- |
| 589.29 | D線(黄色ナトリウム) | Na |
| 587.56 | d線(黄色ヘリウム) | He |
| 546.07 | e線(緑色水銀) | Hg |
| 486.13 | F線(青色水素) | H |
| 479.99 | F'線(青色カドミウム) | Cd |
| 435.84 | g線(青色水銀) | Hg |
| 404.66 | h線(紫色水銀) | Hg |
| 365.01 | i線(紫外水銀) | Hg |
屈折率の表示は7桁目を切り捨てて得られた少数点以下6桁の数値を用い、少数点以下5桁で表示するときは6桁目を四捨五入した数値になっています。
2. 分散式
任意の波長 λ に対する屈折率 n は、次の分散式を用いて算出することができます。
n2 = A0+A1λ2+A2λ-2+A3λ-4+A4λ-6+A5λ-8
ここで、波長 λ はμmの単位で与えらます。A0,A1,A2,A3,A4及びA5は硝種により定まる定数で、最小二乗法により算出した値が記載してあります。上式とこれらの定数を用いることにより、波長365~1014nmの範囲で、任意の波長に対する屈折率を±5×10-6の精度で算出することができます。
分散定数の表示は、指数表記で小数点以下7桁(8桁目を四捨五入)で示してあります。
3. 分散*及びアッベ数
分散とは屈折率が光の波長に依存する現象をいいます。
一般に長波長の光に対する屈折率は短波長の光に対する屈折率より小さくなります。
分散に関する性質を表す値としてアッベ数が用いられます。
主分散、 nF - nC 及び nF'- nC' は、小数点以下6桁の屈折率数値から計算され、下6桁の数値で表示してあります。アッベ数νd 及びνe はそれぞれ次式によって求めてあります。
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計算には少数点以下6桁の屈折率数値を元に下3桁まで計算し(下4桁目を切り捨て)、下3桁目を四捨五入することによって小数点以下2桁の数値を表示してあります。
4.部分分散比
部分分散比Px,yおよびP'x,yはそれぞれ次式により算出してあります。
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通常、部分分散比は任意のスペクトル線間における計算値で表されます。部分分散比は少数点以下6桁の屈折率数値を用いて計算し、下5桁目を四捨五入し少数点以下4桁の数値を表示してあります。
5. 異常分散性
縦軸に部分分散比としてPx,y、横軸にアッベ数としてνdをとると、多くの硝種については、Px,yとνdの間に、ほぼ直線関係が成り立ち、近似的に次式で表すことができます。添字 x 及び y はスペクトル線の種類を表します。
Px,y = ax,y+bx,y・νd
ここで、ax,y 及び bx,y は定数です。
このような硝種は、正常分散ガラスと呼ばれます。他方、正常分散ガラスから離れた位置にある硝種は、異常分散ガラスと呼ばれ、2次スペクトルを小さくするために有効なガラスです。正常分散ガラスから離れの度合い、すなわち異常分散性の大きさをΔPx,yで表すと、上式は、より一般化した形で表すことができます。
Px,y = ax,y+bx,y・νd+ΔPx,y
正常分散ガラスの基準となるC7及びF2の座標を通る直線を標準線としたときの、個々の硝種のνdに対応する標準線上の点とその硝種のPx,yとの偏差をΔPx,yとして表示してあります。
表3 C7及びF2の屈折率
| Glass | C7 | F2 |
|---|---|---|
| Code | 511-605 | 620-363 |
| nd | 1.51112 | 1.62004 |
| νd | 60.49 | 36.30 |
| nF-nC | 0.008450 | 0.01708 |
| ne | 1.51314 | 1.62409 |
| νe | 60.25 | 36.05 |
| nF' - nC' | 0.008517 | 0.017314 |
| Refractive Index | ||
| nt | 1.50154 | 1.6028 |
| ns | 1.50395 | 1.60669 |
| nA' | 1.50558 | 1.60954 |
| nr | 1.50707 | 1.61225 |
| nC | 1.50854 | 1.61502 |
| nC' | 1.50895 | 1.61581 |
| n632.8 | 1.50934 | 1.61655 |
| nD | 1.51105 | 1.61989 |
| nd | 1.51112 | 1.62004 |
| ne | 1.51314 | 1.62409 |
| nF | 1.51699 | 1.63210 |
| nF' | 1.51747 | 1.63312 |
| ng | 1.52155 | 1.64206 |
| nh | 1.52532 | 1.65070 |
| ni | 1.53174 | 1.66631 |
| Coefficients of Dispersion Formula | ||
| A0 | 0.2513560 100 | 2.5528303 100 |
| A1 | -7.9494605 10-3 | -7.5325484 10-3 |
| A2 | 1.1616810 10-2 | 2.4129973 10-2 |
| A3 | 1.5150006 10-4 | 3.9503274 10-4 |
| A4 | -3.1524929 10-6 | 4.1244910 10-6 |
| A5 | 4.8412686 10-7 | 1.2463873 10-6 |
| Relative partial dispersion | ||
| PA'_t | 0.4782 | 0.3947 |
| Pr_A' | 0.1758 | 0.1586 |
| PC_r | 0.1745 | 0.1623 |
| Pd_C | 0.3054 | 0.2938 |
| Pe_d | 0.2387 | 0.2370 |
| PF_e | 0.4559 | 0.4692 |
| Pg_F | 0.5393 | 0.5829 |
| Ph_g | 0.4463 | 0.5061 |
| Pi_h | 0.7597 | 0.9139 |
| P'A'_t | 0.4744 | 0.3893 |
| P'r_A' | 0.1744 | 0.1564 |
| P'C'_r | 0.2214 | 0.2056 |
| P'd_C' | 0.2547 | 0.2444 |
| P'e_d | 0.2368 | 0.2338 |
| P'F'_e | 0.5085 | 0.5218 |
| P'g_F' | 0.4789 | 0.5161 |
| P'h_g | 0.4428 | 0.4993 |
| P'i_h | 0.7537 | 0.9015 |
6. 屈折率の温度係数(dn/dT)
光学ガラスの屈折率は温度によって変化します。絶対屈折率の温度係数(dn/dT)abs.は、干渉膨張計を用い、真空中で試料に温度変化を与えた際に生じる試料の光路長の変化に伴う干渉縞の移動量と、膨張による厚さの変化に伴う干渉縞の移動量とを測定して求めます。
光源としてはHe - Neレーザー(波長:632.8nm)を使用して、-40℃から80℃の温度範囲について20℃間隔で測定してあります。空気中(101.325kPa)における相対屈折率の温度係数(dn/dT)rel.は次式により算出することができます。
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ここで、dnair. / dTは空気の屈折率の温度係数で、表4の値を用いています。
注 101.325kPa = 1atm
表4 空気の屈折率の温度係数
| 温度(℃) | dnair./dT(10-6/K) |
|---|---|
| -40~-20 | -1.35 |
| -20~0 | -1.15 |
| 0~20 | -1 |
| 20~40 | -0.87 |
| 40~60 | -0.76 |
| 60~80 | -0.68 |
7. 光路長の温度係数(ds/dT)
ガラスの温度が変化すると、光路長が変化します。この変化の度合を示す光路長の温度係数(ds / dT)は次式により表されます。
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ここで、nはガラスの屈折率、αはガラスの線膨張係数、dn / dTはガラスの屈折率の温度係数です。
8. 光弾性定数(B)
光学ガラスは精密アニールされており、光学的に等方で複屈折性を示しません。しかし、機械的な外力が作用したり、加熱、冷却により温度差が生じるとガラスに応力が生じ、光学的に等方でなくなり、複屈折性を示すようになります。複屈折による光路差をδ(nm)、ガラスに生じた応力(差)をσ(105Pa)、ガラスの厚さを t (cm)とすると、これらの間には
δ = B・σ・t
の関係があります。
上式における比例定数Bは硝種に固有の定数で、光弾性定数といい、10-12 / Paの単位で表示してあります。
He-Neレーザー光を用い、円板状試料の一直線方向に圧縮荷重を加えたときに円板の中心に生じる光路差を測定し、その値から光弾性定数を求めてあります。
注 10-12 / Pa = 0.9807(nm / cm) / (kgf / cm2)
105Pa = 1.0197kgf / cm2
9. 着色度*
光学ガラスでは紫外から可視域にかけての吸収端より長波長側(可視域)においては、ほとんど吸収が認められないため、着色度を用いてその分光透過特性を簡便に表示することができます。
着色度は、10±0.1mmの厚さに研磨されたガラスを用いて、分光透過率(表面反射損失を含む)を測定し、透過率80%と5%と示す波長をそれぞれλ80、λ5で表し、5nm単位で表示してあります。
たとえば、透過率80%を示す波長が327nm、透過率5%を示す波長が285nmのガラスでは着色度λ80は325、λ5は285のように表示されます。
図1 着色度の表示法(例)

なお、ne≧1.85の高屈折率硝種に関しては着色度の表示を透過率70%と5%を示す波長(λ70 / λ5)を示しています。
λ70を用いて表示する場合は、たとえば(420)のように表示してあります。
10. 内部透過率(τ)
内部透過率(τ)は、入射側および出射側における表面反射損失を除いた透過率で、厚さの異なる一対の試料のそれぞれの表面反射損失を含む透過率(τ)の測定値を用い、計算により求めてあります。
280~1550nmまでの波長範囲について、厚さ5mm及び10mmの内部透過率をそれぞれτ5mm及びτ10mmにより表示してあります。
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ここで
τ:10mmのときはガラスの内部透過率
Δd:試料の厚み差d2 - d1
T1:試料厚d1で得られる表面反射損失を含む透過率
T2:試料厚d2で得られる表面反射損失を含む透過率
ただし:d2>d1
11. 内部透過率による着色度
着色の程度を簡易的に示す指標として、内部透過率が80%に相当する波長をλτ0.8として示しました。
12. 色度
色度座標は、JIS Z8701:1999(XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系による色の表示方法)及びJIS Z8722:2000(物体色の測定方法)に従って求めてあります。
D65光源によるXとYの値を掲載しました。




