1. 屈折率及びアッベ数
屈折率及びアッベ数は、いくつかの熔解ロットの平均値です。個々の熔解ロットの値は、この標準値と多少異なることがあります。一般的には次の公差内にあります。
[研磨レンズ用光学ガラス]
屈折率 nd:±30×10-5 アッベ数 νd:±0.5%
H、S区分硝種では特別なご要望に対しまして、屈折率nd:±20×10-5 アッベ数νd:±0.3%の公差にも応じられます。また、ng-nCあるいはng-ndのような部分分散における公差設定のご要求にも対応いたします。
[MO用熱間成型プリフォーム(MP-)、MO用冷間加工プリフォーム(MC-)]
屈折率 nd:±30×10-5 アッベ数 νd:±0.5%
弊社標準アニール(-30℃/h)処理した場合の特性値にて保証いたします。
[非球面レンズ(M-)]
屈折率 nd:±50×10-5 アッベ数 νd:±0.8%
標準測定の精度は、屈折率 ±1×10-5、分散は ±1×10-5です。
ご要望によりさらに高精度の測定値のご提供も可能です。別途ご相談ください。
2. 着色度
細心の注意を払って光学ガラスを製造しておりますが、ガラスの種類により多少着色するものがあります。着色度および内部透過率は、いくつかの熔解ロットの平均値であるため、個々の熔解ロットの値は、この標準値と多少異なることがあります。その変動幅は通常±10nmです。
特別なご要望に対しましては、公差を縮小した製品をお届けすることが可能です。
ご要望により、納入ロットの着色度や必要な波長範囲の分光透過率の測定値をお知らせします。別途ご相談ください。
3. 熱的性質
熱的性質はいくつかの熔解ロットの平均値であるため、個々の熔解ロットの値は、この標準値と多少異なることがあります。
転移点Tg、屈伏点Ts、軟化点T107.6、徐冷点、ひずみ点は測定誤差を含めて±5℃の範囲にあります。
4. 光学的均質度
非常に高精度な光学系に使用されるガラスについては、その単体内の屈折率の変化を特別に小さく規定しなければならない場合があります。このような屈折率の変化の小さい、すなわち、光学的均質性の優れたガラスについては、特殊な製造方法と干渉計を用いた検査方法により供給させていただきます。別途ご相談ください。
表1:光学的均質度
級 | 屈折率偏差 |
---|---|
H1 | ±2×10-5 |
H2 | ±5×10-6 |
H3 | ±2×10-6 |
H4 | ±1×10-6 |
注:一般の光学ガラスにおいては、寸法、形状により単体内の屈折率偏差Δnは±2×10-5を超える場合があります。
5. 歪
歪とは、ガラス内部の残留応力によって生じた複屈折の大きさをいいます。あまり歪が大きい場合には光学性能に影響を与えたり、破損の原因となることがあります。一般に光学ガラスの場合は歪量を低いレベルに抑える目的で精密アニ−ルを行います。歪の程度はガラス厚さ1cm当たりに生じる光路差により、表2の級に分類してあります。
表2:歪の級
級 | 歪量(nm/cm) 斜量 |
---|---|
1 | <5 |
2 | ≧5~<10 |
3 | ≧10~<20 |
4 | ≧20 |
歪量は、直方体の場合には、各辺の中央で縁から幅の5%内側に入った点で、円柱の場合には、互いに直角で縁から直径の5%内側に入った点で測定しています。直方体、円柱以外の特殊な場合には、測定点を明示します。
6. 脈理
脈理とは母体ガラスと屈折率を異にしたガラス質の線状または層状になっている部分をいいます。
脈理は点光源とレンズ系からなる脈理検査装置を用いて、脈理が最も見えるような方向から、日本光学硝子工業会指定の標準試料と比較検査を行い、表3の級に分類してあります。
表3:脈理の級
脈 理 | 脈理の程度 |
---|---|
1 | 認められないもの |
2 | 薄くて分散した脈理で目に見える限界のもの |
3 | 平行な脈理がわずかにあるもの |
7. 泡・異物
光学ガラス中の泡品質は、製造技術の進歩により、絶えず改良されておりますが、全く泡のないガラスをつくることは非常に困難です。泡の径と個数はガラスの種類や熔解条件によって異なります。泡の程度は、100mlのガラス中に含まれている泡の断面積の総和を算出し、これに基づいて表4の級に分類してあります。
表4:泡・異物の級
級 | 100ml中の泡の断面積の総和(mm2) |
---|---|
1 | <0.03 |
2 | ≧0.03~<0.10 |
3 | ≧0.10~<0.25 |
4 | ≧0.25~<0.50 |
5 | ≧0.50 |
石や結晶のような異物がある場合も、泡と同様にみなし、泡の断面積の総和に加算してあります。
この分類は、泡及び異物の直径または最大径が0.03mm以上のものを対象としております。
直径または最大径が0.03mm未満の泡及び異物については、弊社独自の基準として、泡及び異物の径別に単位体積または質量当たりの許容数を定めております。